星組さんの『スカーレットピンパーネル』を観劇してきました。
紅ゆずるさんが、冒頭でホームレスのような姿からパッと帽子を取った瞬間に、ものすごい拍手が沸き起こって、トップになったことをすごく祝福されているんだなぁと感じました。
紅ゆずるさん
大きな羽根を背負った姿を見て、トップになったんだなぁとしみじみ思いました。
私が初めて紅さんに注目したのは、『アンナ・カレーニナ』でカレーニンを演じたときです。このころは、まだ紅さんのキャラクターがよくわからなかった(笑)。
その後すぐに新人公演でパーシーを演じて、波に乗った感じがあって、「紅5」や『メイちゃんの執事』が話題になって、あっという間にスターになりましたね。
「紅5」の活動は、他の人には真似できない、紅さんの個性のなせる業という感じでした。劇団から何か与えられるのを待つばかりじゃなくて、自分から波を作ってしまったようなところも、すごいなぁと思います。
二番手になってからが結構長かったように思うので、ご本人もファンの方も、きっといろんな思いがあったと思います。大きな羽根を背負った姿が見られてよかったですね。
公演のほうは、紅さんの演じたパーシーは、これまでのパーシーに比べて、若干お笑い要素が強めかなという印象を受けました(笑)。
お笑いというか、パーシーがスカーレットピンパーネルであることを周囲に悟られないために、わざとおちゃらけたキャラクターを演じているっていう表現なんでしょうけど、その表現の度合いが、かなりオモシロい感じになっていたというか、紅さんらしいというか、そんな印象を受けました。お客さんに楽しんでほしいっていう、紅さんのサービス精神だったのかもしれませんが。
私がよかったと思った場面は、お笑いっぽいところじゃなくて、パーシーがマルグリットを疑い始めて歌う「祈り」、マルグリットへの疑いが晴れたときに歌う「目の前の君」の場面。
紅さんは、マルグリットへのパーシーの想いみたいなものを、全身全霊で伝えていたと思います。
あとは、仲間たちとデイドリーム号に乗ってパリに向かうときの「炎の中へ」。このときの仲間たちへの信頼とか、みんなの気持ちが一つになる感じは、生粋の星組育ちの紅さんならでは、という感じがしました。
王太子ルイ・シャルルを助けに行った場面もよかったです。「おいたわしい」というセリフにものすごく情感がこもっていて、感動しました。
パーシーが本当に王太子を助けたいと思っていることが伝わってきたし、そのために命を懸けてスカーレットピンパーネルとして活動しているということへの説得力がここで増したと思います。
パーシーは、これまで歌の上手な方が演じてきた役だし、作品も大作のミュージカルなので、歌に関して厳しい目で見られることもあると思います。
だけど、紅さんは紅さんのパーシーでいいんじゃないかなーという気がしました。
じゅうぶんカッコよかったと思います。
綺咲愛里さん
歌も演技も、マルグリットになりきろうと相当努力したんだろうなと感じました。
すごく頑張っていたと思います。マルグリットという役柄のせいもあるかもしれませんが、これまでの綺咲さんのイメージとは違った一面が見られました。
ビジュアル的に、パリの名花と謳われた気が強くて美しいマルグリットのキャラクターが伝わってきたし、歌も健闘していたと思います。
だけど、やっぱりマルグリットは「パリ随一の歌姫」という役どころだし、歌を聴かせる役なので、綺咲さんがこれまでよりもずっと上達していたとしても、厳しい目で見られる部分はあると思います。初演のメンバーが強烈というか、みんなハマリ役だったので、このあたりは仕方がないと思いますね。。
でも、紅さんとのコンビはお似合いで、最後のデュエットダンスも、幸せそうでとってもステキでした! 紅さんが綺咲さんに向ける笑顔もよかった。
綺咲さんは、これからどんどん役に磨かれて変わっていく気がします。楽しみです。
礼真琴さん
この方に関しては、本当にこの一言に尽きます。
圧倒的だった。
いやもう、すごかった。圧倒されました。緩急自在の、無敵のショーヴランだったんじゃないでしょうか。
ショーヴランも、初演の柚希さんのイメージがすごくあって、礼さんは柚希さんをすごく尊敬していらっしゃるみたいなので、柚希さんのショーヴランのイメージを払拭して、どこまで自分のものにできるかが、見せどころというか、試されていたと思います。
それで今回、見事に柚希さんのまねではない、礼さんのショーヴランを見せてくれました。
迫力のあるショーヴランなんだけど、時折見せるマルグリットに対する焦がれるような想いが、見ていてすごくせつなかったです。
すごかった。それしか言えないくらい。
でも、アドリブに関しては紅さんの勢いにタジタジな感じもありましたね(笑)。
あとの部分は、文句なしに素晴らしかったと思います。
他の方の活躍も書きたかったのですが、長くなってしまったので、それはPERT2として書きたいと思います。