北翔さんはトップになる前あたりから、演出家の岡田敬二先生とたくさんお仕事されていましたよね。
岡田先生のショー作品は、再演は度々あったけど、去年「ロマンス!!(Romance)」が上演されるまで、ずっと(7年間ぐらい?)、新作がありませんでした。
北翔さんが岡田先生と仕事がしたいと思った気持ちは、何となく、想像でしかないけど共感できる気がします。先生のお人柄とかももちろんあるんでしょうけど、北翔さんが音楽学校とか新人のころに、一番輝いていた演出家が岡田先生でしたもんね。当時から、とてもダンディーでした。
岡田先生ってすごい
紫苑ゆうさんのサヨナラ公演だった『ラ・カンタータ』、宙組誕生の公演だった『シトラスの風』、同じく宙組の『ザ・レビュー`99』あたりは岡田先生の時代という感じで、どれも「ザ・宝塚!」という雰囲気があって素晴らしい作品ばかりでした。
本当に、男役は男らしく、娘役は娘役らしく、色彩豊かで華やかで、正統派のショーだったと思います。うまくいえないんですけど、いわゆる「モードな洗練」じゃなくて、「宝塚らしい洗練」っていったらいいのかな。そういうのを感じました。
『ル・ポアゾン 愛の媚薬』とか『ラ・カンタータ』は、ちょっと大人っぽいアダルトな雰囲気もあって、当時のまだ学生だった私にとっては、禁断の、じゃないけど、ちょっと背伸びして大人の世界を見ちゃったみたいな、そんな憧れもありましたね。
特に、紫苑ゆうさんのラブシーンは濃厚で、子どもは見ちゃいけないだろうっていうレベルでしたよ(笑)。あの男役の色気を、今、紫苑さんは音楽学校で生徒さんに伝授していらっしゃるんですかね。重要なことだと思います!! あの当時の星組は、とにかくみんな背が高くって、大人っぽかったです。
紫苑さんといえば、宝塚愛、星組愛がすごかった。自分の退団公演のときも泣かなかったのに、運動会(80周年のときです)で星組が優勝したら泣いちゃって、あれは忘れられないですね。いい涙でした。柚希さんの星組も、すごい団結している感じがしましたけど、その前は、やっぱり紫苑さんの星組のまとまりがすごかった。当時から残っていらっしゃるのは、英真なおきさんとか、万里柚美さんとかですかね。
シトラスの風
北翔さんの初舞台は、『シトラスの風』だったんですよね。
あの作品は強烈でした。初舞台生だったら、余計にそうだったんじゃないですかね。
宙組発足の第1作目のショーで、姿月あさとさん、和央ようかさん、湖月わたるさんという、背の高い豪華メンバーが銀橋にずらりと並んで「うわぁ!」と圧倒されたことが、すごく記憶に残っています。これから宙組がスタートするんだっていう高揚感と、スターさんたちの圧倒的な華やかさがありました。
トップ娘役は花總まりさんだったし、当時最強の布陣だったと思いますね。もしかしたら、歴代最強の布陣だったのかもしれない。「明日へのエナジー」とか、度々再演されていますけど、やっぱり初演のときが素晴らしかったからだと思います。
岡田先生の作品って、再演しても色あせない場面が多いところもすごいですよね。
藤井大介先生とか、より現代的な感覚を持った演出家の先生が登場したあたりから、岡田先生の新作が見られなくなってしまったけれど、岡田先生は、やっぱり宝塚のショーの歴史の中で、レジェンドなんだと思いますね。
北翔さんが、サヨナラ公演に岡田先生の作品を選んだっていうのも、すごく北翔さんの人柄を感じさせるチョイスだったと思います。人との出会いを大事にするスターさんなんだなと思いましたし、岡田先生の作品をリスペクトというか、尊敬する気持ちも感じました。
なんだか、昔を懐かしむブログみたいになっちゃいましたよ。まあ、たまにはこういうのもいいんじゃないかということで、勘弁していただきたいと思います(笑)。
岡田先生の作品で、振り返って感想を書きたい作品はいっぱいあるんですけど、それはまたの機会にしたいと思います。